食事における糖質を制限して体重を減らす「糖質制限ダイエット」。
比較的早くから成果が現れてくれるので、取り入れている人も多いと思います。
ですがこのダイエットは、方法を間違えると様々な悪影響を及ぼすことでも知られています。
でも具体的に
『どんな方法が危ないの?』
『どんな悪影響がでるの?』
『正しい方法ってどーやるの?』
と、疑問に思う人も多いのではないでしょうか?
今回は、
・誤った方法を行うことによって身体にどのような悪影響が出るか
・正しい糖質制限の方法について
これらをまとめたいと思います。
糖質制限ダイエットは”悪”ではない
糖質制限はもともと糖尿病治療のために考えられた食事法です。
以前は糖質制限に対して批判的な意見も多くありましたが、近年では日本人に対しての研究も進み、「カロリー制限食より糖質制限食の方がHbA1cが優位に改善した」との報告もされています。また、米国糖尿病学会では糖質制限食を食事療法の一つとして認めています。
https://diamond.jp/articles/-/49647
このように肯定的な研究も進んでいるため、適切な方法であれば効果があるということですが、誤った方法で行なってしまうと悪影響を及ぼす危険性もあります。
誤った糖質制限がなぜ危険なのか
もともと糖質は人間にとって必要不可欠な3大栄養素の一つです。
最適な栄養摂取のバランスとして
糖質:50〜60%
たんぱく質:20〜30%
脂質:15〜20%
と言われています。
また、糖質(炭水化物)が分解されてできるブドウ糖は、脳の唯一のエネルギー源と言われるほど重要なエネルギーとなっており、その必要量は約80〜100g /日と言われています。
よって、「糖質を減らすだけで良い」という情報だけを鵜呑みにして、1日の糖質摂取量を0にするようなことがあると、1日の必要量を満たせず体に悪影響を及ぼします。
また、カロリーの摂取量についても考慮しなければなりません。
一般成人の方が1日に必要なカロリーは、1,800~2,200kcalとされています。(性差や体格差によって異なります。)
次に、三大栄養素のカロリーは1gあたり
たんぱく質:4kcal
脂質:9kcal
糖質:4kcal
とされています。(食品によって若干数値は異なります)
糖質制限によって摂取カロリーも減少するため、たんぱく質や脂質をその分摂取しなければ、1日のカロリー必要量を下回ってしまうことになります。
カロリー摂取量が足りないと、脳や身体を動かすのに必要なエネルギーまで不足してしまい、結果として身体に悪影響を与える可能性があります。
これらのことから、正しい方法で行わないと体調を崩す原因になると言えます。
誤った方法はどんな方法?
では誤った方法とはどんな方法でしょうか?以下に例示していきます。
・糖質制限だからと、いきなり炭水化物を全く摂らないようにする
・炭水化物を制限して、同時にカロリー制限もしている
・カロリーは摂取しているが、たんぱく質より資質が多い(脂っこいものばかり食べている)
・カロリー摂取しているが、お菓子をよく食べる
・カロリー摂取しているが、野菜をほとんど食べない
このようなことを続けている人は、摂取カロリーが足りなかったり、逆にカロリーを取りすぎだったり、必要な栄養素が足りなかったりして、体に悪影響を及ぼしている可能性があります。
では次に、誤った方法による身体への影響について述べます。
誤った方法による身体への影響
便秘、下痢になる
糖質制限で主に制限するのは炭水化物ですが、炭水化物には糖質だけでなく食物繊維も含んでいます。そのため炭水化物を控えるとおのずと食物繊維も一緒に抑えられてしまいます。 食物繊維には整腸作用があるため、不足することで腸内環境が乱れ、便秘や下痢の症状が現れることがあります。
炭水化物を抜く場合は、代わりに野菜や海藻類などの食物繊維を多く含む食材を多めに摂取するように注意しましょう。
また、食物には水分も含まれています。食事量が減ることで同時に水分摂取量も減ります。水分不足により便秘になることもあるので、糖質制限する場合は水分もいつもよりこまめに摂取するように心がけましょう。
【食物繊維の摂取目安量】
成人男性:20g以上/日
成人女性:18g以上/日
筋肉量が減少し、基礎代謝が低下する
糖質は体を動かすための主要エネルギーとなります。糖質は肝臓内で貯蔵され、体を動かす時に肝臓から糖を取り出しエネルギーとしています。
極端な糖質制限を行うことで体内の糖が不足した場合、エネルギーは脂肪や筋肉内のたんぱく質を分解して燃出するため、筋肉量が減少して筋力が低下します。
筋肉量が低下することで基礎代謝も減り、代謝が減ることで消費エネルギー量が減少し痩せにくくなるという、ダイエットが成功しない悪循環を作ってしまいます。
糖質制限を行う場合は、代わりのエネルギー源となるたんぱく質を多めに摂取するよう注意しましょう。
めまいや頭痛をなどの症状が出る
脳を動かすためのエネルギー源はほとんどがブドウ糖です。
糖質制限によりブドウ糖が不足しますが、正しい方法であればタンパク質や脂質がブドウ糖へ変化し、栄養供給を保ってくれます。
しかし、たんぱく質の摂取量が少ない誤った方法であると、脳はエネルギー不足となり、低血糖症状が現れます。
【脳のエネルギー不足により現れる症状】
・頭痛
・めまい
・吐き気
・手の震え
・動悸
これらの低血糖症状を防ぐためにも、脂質やたんぱく質の代替えエネルギーをしっかり摂取しなければなりません。
骨粗しょう症のリスクが高まる
糖質制限と謳って、自己流で食事全体を少なくしてしまうような(エネルギー摂取量不足)人は、骨粗しょう症のリスクが高まる可能性があります。
人体内のカルシウムの99%は歯や骨の中にあります。残り1%は組織や血液中にあり、筋肉収縮・血液凝固・神経伝達などの役割を担っています。
これらカルシウムの機能は人体を構成する上で必要不可欠な役割を担っていますが、食事制限等によって血中のカルシウムが減少すると、生体反応として骨からカルシウムを溶かして血中に補填するようになります。
この状態を続けた結果として、骨のカルシウム濃度が低下し、骨粗しょう症になるといったメカニズムです。
やはり糖質制限だからと言って摂取量全体を減らすのではなく、栄養素を適切に摂取できるように食事を行わないといけません。
脳卒中になるリスクが高まる
カロリー摂取を行なっている人でも、栄養素のバランスが極端に悪い場合は、脳卒中になるリスクが考えられます。
例えば、糖質以外は何を食べても大丈夫だからといって、とんかつや焼肉、油物のお菓子などの脂質が高いものばかりを食べてしまえば、血中の悪玉コレステロール濃度が高まり、高脂血症や動脈硬化となる危険性が高まります。
なんでも食べていいからといって油断せず、栄養バランスを考えたカロリー摂取をしなければなりません。
正しい糖質制限ダイエットの方法とは
糖質を”0”にしない
糖質を一気に減らしたり、1日の摂取量を20g以下に制限したりしてしまうと、脳のエネルギー不足になり働きが悪くなります。これにより集中力がなくなり、頭がぼーっとしやすくなってしまいます。
日本人の場合、脳が十分に働くため1日に約80〜100gの糖質が必要だといわれています。そのため1日あたりの糖質摂取量を100g(1食あたり30〜40g。ごはんであればお茶碗の3分の1程度)に設定してみましょう。
たんぱく質をしっかり取る
糖質制限によって体内では糖質が不足しますが、タンパク質、脂質が代替エネルギーとして働いてくれます。
脂質は取りすぎることで血中の悪玉コレステロールが増加して脳卒中リスクを高めてしまいますが、タンパク質は脂肪の燃焼を助けてくれます。
1日に必要なタンパク質として、「体重×1g~1.5g」です。体重50kgの人の場合は、毎日50g〜75gのたんぱく質が必要です。 タンパク質とビタミンB群などが多く含まれる肉や魚、卵などの比率を多くしましょう。
無理のない糖質制限で、長く続けられるようにする
何事も継続は力なりです。せっかく始めた糖質制限も、続かなければ全く意味がないです。
続けるためには、やはり我慢しすぎないこと。我慢しすぎるとイライラが募り、ストレスに耐えられなくなると暴飲暴食に走り、リバウンドしやすくなります。
続けられるレベルの糖質制限から始めて、無理のない範囲で徐々に減らしていきましょう。
続ければいつかきっと身を結ぶ日がやってきます。
運動も取り入れると効果アップ
糖質制限とともに適度な有酸素運動をすることによって、基礎代謝エネルギー量が高まり、脂肪燃焼が促進されます。
ただし過度な運動は、筋肉の糖代謝が活発になりすぎてエネルギー不足に陥ることがあるので、無理のない続けられる運動にしましょう。
まとめ
糖質制限ダイエットは、誤った方法で行うと色々な悪影響が出ることをお伝えしました。
しかしこれらのことを注意して行えば、 安全で効率よくダイエットを進めることができます。
もしあなたが行なっている糖質制限に不安を持っているなら、お近くの病院や保健所、地域包括支援センターなどに配属されている保健師や栄養士、理学療法士などに聞いて見るのも一つの手です。
健康的なダイエットが続けられるように、適切な方法で続けて行きましょう。
本日は以上です、最後まで読んでいただきありがとうございます。